レモンとシェイクスピア
4月23日はシェイクスピアの誕生日です。
私にとって思い出深い書籍の一つに「ヴェニスの商人の資本論(著:岩井克人 ちくま学芸文庫)」があります。
「ヴェニスの商人」を題材に資本主義や貨幣について論じた著作ですが、大学生の時に読み「文学で経済学を説くことができるのか」と衝撃を受けました。
内容は昔も今も私には難解で十分理解しているとはいいがたいのですが、それまで文学、歴史などの人文系に興味が偏り経済学部で居心地の悪さに苛まれていたときにこの本を読み、経済学って面白いかも、と思うきっかけとなりました。
同時期に「レモンをおかねに変える法」という絵本にも出会いました。子供がレモネードを売る屋台を舞台に原料、労働、商品など経済の基礎知識を学ぶ絵本で、分かりやすさももちろんですが、「絵本」という形式で「経済」を学ぶことができる、ということに驚かされました。
これらをわずかなとっかかりとして学びはじめ、今では会計・税務を中心とした仕事についています。
経済、会計などは難しそうとか、あまり自分に関係ない、と思われがちですが、人が社会の中で生きていく以上、経済活動と無縁ではいられませんし、経済活動が行われればそれを記録し報告する会計の知識が不可欠です。
この経済社会でよりよく生きるための会計の基礎的な知識を、「会計リテラシー」として、昨年10月、日本公認会計士協会から『会計リテラシー・マップ』が公表されました。
会計リテラシーとは、「広く国民が社会で活躍していくための会計の基礎的な素養」と定義され、生涯の「どの段階で何を学ぶか」を分かりやすくイメージするための資料として作成されています。
会計リテラシーが私たちの日常の暮らしや活動とどのように結びついているのか、それぞれのライフステージごとに「家計管理・生活設計」という個人や家庭に関する事項と「社会生活」に分けてどのようなことが求められているのかを俯瞰的に示しています。
多くの人が会計リテラシーを身に付けることは、個人が経済社会を主体的に生きていくのに役立つだけでなく、適切な経済活動の維持にもつながります。
難しい、と敬遠されがちな分野ですが、私自身がシェイクスピアとレモンを切り口に学びのきっかけを得たように、分かりやすく楽しく会計や経済について学ぶことできればよいと思いますし、私も会計教育、租税教育に取り組んでいきたいと思っているところです。
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