平成31年度税制改正大綱~消費税率引き上げに向けて~
財務省は、平成31年度税制改正大綱が12月21日に閣議決定されたことを公表しました。
平成31年度税制改正の大きなポイントとして「消費税率の引き上げ対策」があります。
大綱の中に「需要変動の平準化等の観点から、住宅に対する税制上の支援策を講ずるとともに、車体課税について、地方の安定的な財源を確保しつつ大幅な見直しを行う。」とあって、消費税率10%への引き上げに伴う駆け込み需要や反動による需要落ち込み対策に重点がおかれています。
住宅ローン減税の減税期間の延長や自動車税の引き下げ等により10%引き上げ後に購入した住宅や車についての減税措置を講じています。
駆け込み購入・反動減対策として、前回の消費税引き上げの時には認めなかったいわゆる「値引きセール」や「便乗値上げ」も容認していることも特徴的です。
11月に政府が公表した「消費税率の引上げに伴う価格設定について(ガイドライン)」で一定のルールはあるものの企業に消費税率引き上げの影響を抑える対策を独自に行えるようにしています。
また、地域間の財政力の格差を是正するための新たな措置を盛り込んでいます。
大綱で「都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築の観点から、特別法人事業税(仮称)及び特別法人事業譲与税(仮称)の創設等を行う。」としています。
そのほか、「個人事業主に対する事業承継税制の創設」や「ふるさと納税の見直し」などが話題として注目されていますね。
税制大綱は財務省ホームページで公開されています。https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/index.html
< 主な事項 >
〇 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例の創設
個人が、住宅の取得等(その対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率10%である場合の住宅の取得等に限る。)をして平成31年10月1日から平成32年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合について、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例を創設する。
○ 自動車税の税率引下げ
平成31年10月1日以後に新車登録を受けた自家用自動車(登録車)から、小型自動車を中心に全ての税率区分において、自動車税の税率が引き下げられる。
○ 都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築
・特別法人事業税(仮称)及び特別法人事業譲与税(仮称)の創設
特別法人事業税(仮称)(法人事業税(所得割又は収入割)の納税義務者に対する国税、課税標準は法人税事業税額、平成31年10月1日以後開始事業年度から適用)及び特別法人事業譲与税(仮称)(平成32年度から譲与)が創設される。
〇 個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度の創設
認定相続人(注)が、平成31年1月1日から平成40年12月31日までの間に、相続等により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その認定相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する相続税の納税を猶予する。
(注)「認定相続人」とは、承継計画に記載された後継者であって、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の規定による認定を受けた者をいう。
〇 個人事業者の事業用資産に係る贈与税の納税猶予制度の創設
認定受贈者(18歳(平成34年3月31日までの贈与については、 20歳)以上である者に限る。)が、平成31年1月1日から平成40年12月31日までの間に、贈与により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その認定受贈者が納付すべき贈与税額のうち、贈与により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する贈与税の納税を猶予する。
○ ふるさと納税制度の見直し
次の基準に適合する地方公共団体を総務大臣が指定することにより、過度な返礼品を送付し制度の趣旨を歪めているような団体に対しては、ふるさと納税(特例控除)の対象外とすることができるよう、制度の見直しを行う。
① 寄附金の募集を適正に実施する地方公共団体
② ①の地方公共団体で、返礼品を送付する場合には、返礼品の返礼割合を3割以下とすること及び返礼品を地場産品とすることのいずれも満たすもの
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